歯が抜けたまま放置していませんか?知ってほしいリスク

    「奥歯が1本くらいなくても大丈夫…」
    「痛くないし、忙しいから後でいいや…」

    こう思って、歯が抜けたまま“放置”される方は少なくありません。しかし、歯が1本でも失われると、お口全体は静かに、そして確実にバランスを崩していきます。その変化はゆっくり進むため気づきにくいのですが、放置期間が長いほど元に戻しにくく、治療の選択肢も狭まるという大きな問題があります。

    この記事では、歯を失ったままにすることで起こりやすいリスクと、歯を失った時の代表的な治療法について解説します。

    歯を失ったままにすると起こるリスク

    ◆隣の歯が倒れてく

    抜けた部分にスペースができると、両隣の歯はその空いた方向へと少しずつ傾いていきます。傾いた歯は清掃が難しくなり、むし歯や歯周病の発症リスクが大幅に上昇します。

    ◆噛み合う歯が伸びてくる

    下の奥歯が抜けたままだと、噛み合う上の歯がスペースを埋めるように下へ伸びてきます。これにより、歯並びや噛み合わせが大きく乱れ、顎関節症の原因になることもあります。

    ◆残っている歯の寿命が縮む

    歯を失うと、残りの歯がその役割を代わりに背負います。その結果、1本当たりの負荷が増えて摩耗や破折が起こりやすくなったり、歯周組織にもダメージが加わり、歯周病を発症するケースもあります。抜けた歯の放置は、お口全体の崩壊を早めることにつながります。

    ◆噛む力の低下・消化への負担

    歯を1本失っただけで、噛む力は20〜30%低下するといわれています。さらに片側だけで噛む“片噛み習慣”がついてしまいます。また、偏った噛み方で食事がうまく取れず消化に負担がかかるなど全身への影響につながることもあります。

    ◆見た目の変化・老け顔に見える

    歯が抜けたままの状態で放置すると、顎の骨が退化することがあります。歯がない部分の骨は刺激を受けないため、徐々に吸収されて薄くなります。これにより、顎の骨が弱くなり、顔の輪郭が変わることがあります。

    歯を失ったときの代表的な治療方法

    歯を失った場合、主に以下の3つの方法があります。

    ① インプラント

    インプラントは、失った歯の部分に人工の歯根(チタン製)を顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療方法です。天然の歯と非常に近い噛み心地を再現でき、見た目の自然さも高く評価されています。

    〈向いている方〉

    • しっかり噛みたい
    • 周囲の歯を削りたくない
    • 長期的に安定した治療を選びたい
    • 入れ歯の違和感が苦手

    ② ブリッジ

    ブリッジは、抜けた歯の両隣の歯を削り、それらを支えとして連結した人工歯を装着する治療です。取り外しの必要がなく、比較的短い期間で治療が完了する点が特徴です。

    〈向いている方〉

    • 固定式で違和感の少ない治療を希望
    • 外科手術に抵抗がある
    • 隣の歯に大きな治療歴があり、削ることに抵抗が少ない場合

    ③ 入れ歯(義歯)

    入れ歯は、歯を失った部分に人工の歯を装着し、必要に応じて取り外しが可能です。保険治療の選択肢があるため、費用を抑えながら機能回復を行えます。

    〈向いている方〉

    • 低コストで歯を補いたい
    • 外科手術を希望しない
    • 多くの歯を失っている
    • 維持管理を定期的に通院できる

    ※歯を失った部分の治療は、ライフスタイル・口の状態・残っている歯の健康度・費用・将来の健康観などによって1人ひとり最適な方法が大きく変わります。

    抜けた歯を放置するほど元に戻すのが難しくなる

    歯が抜けた直後は治療方法の選択肢も多く、負担も少なく済むことがほとんどです。しかし放置が進むほど、歯の傾きや噛み合わせのズレ、周囲の歯のダメージなどが引き起こり治療に時間と費用がかかり、ケースによっては治療そのものが制限されてしまいます。

    《よくある例》

    • 本来はインプラントが可能 → 骨が痩せて難しくなる
    • 本来はブリッジが可能→ 隣の歯が傾いて支えられない
    • 本来は入れ歯が可能 → 土台の骨が薄く不安定で噛めない…など

    このように抜けた歯を放置してしまうことは、本来選べたはずの治療が選べなくなる可能性があります。

    抜けた歯を早めに治療するメリット

    失った歯のスペースは少しずつでも動いてしまい、骨は確実に痩せてしまいます。さらに、噛み合わせはゆっくりズレ続けるためそのまま放置することは、長期的に見ると損失が大きい行動です。早めの治療を行うことは、治療の選択肢が多いだけでなく様々なメリットがあります。

    • 総治療費が安く済む
    • 健康な歯を守れる
    • 見た目も機能も回復しやすい
    • 噛み合わせを長期的に安定させられる

    早い段階でお口の状況を把握すれば、いくつかの選択肢の中から最適な治療方法を選べることができます。また、残っている歯を守ることができることも大きなメリットです。

    まとめ:たとえ1本でも抜けた歯はそのまま放置しないことが大切!

    歯は1本ずつ独立しているように見えますが、実は全体でバランスを取り合い、1本でも欠けると全体の機能が崩れる構造になっています。そのため歯を失ったまま放置することは、お口の健康だけでなく、全身の健康や生活の質にも影響します。

    少しでも「放置しているかも…」と思ったら、ぜひ早めに歯科医院へご相談ください。あなたの歯と健康を守る最善のタイミングは、“今”です。「痛みがないから大丈夫」と思う前に、少しだけ未来の自分のために行動してみませんか?

    記事監修 Dr.堀内 啓史
    堀内歯科医院
    院長 堀内 啓史

    岸和田のかかりつけ医、この町の歯医者さん堀内歯科
    東岸和田駅から徒歩約7分
    〒596-0825 岸和田市土生町6丁目10-8