0歳からスタート!歯が生える前に知っておきたいお口ケア

    「まだ歯が生えてないのに、お口のケアなんて必要あるの?」
    そんなふうに思われる方も多いのではないでしょうか。

    しかし、実は赤ちゃんのお口の健康は、歯が生えるずっと前から始まっています。歯が生えていないからといって油断していると、将来的な虫歯リスクや口腔トラブルにつながってしまいます。

    今回は、歯が生える前から始めるお口のケアの重要性と、お家でできるお口ケアについてご紹介します。

    乳歯は妊娠初期から作られている

    赤ちゃんの乳歯は、生後すぐに生えてくるわけではありません。しかし、乳歯の芽(歯胚)は、妊娠約7週目頃から作られ始めます。そして妊娠4ヶ月頃には、歯の形の基礎ができはじめ、石灰化もスタートします。このように、乳歯はお母さんのお腹の中の段階で既に作られています。そして、誕生時には歯ぐきの中に乳歯がスタンバイしている状態です。つまり、赤ちゃんの歯が生える前から、お口の健康はすでにスタートしているのです。

    歯が生える前のケアが必要な理由

    1. お口の中は「菌」にさらされている

    たとえ歯がなくても、赤ちゃんのお口の中にはさまざまな菌が存在します。とくに、虫歯菌(ミュータンス菌)は、親からのスキンシップや食器の共有によってうつる可能性があります。清潔に保たれていないお口の環境では、歯が生えてきたときにすぐ虫歯リスクにさらされてしまいます。

    2. 歯ぐきの健康は歯の健康につながる

    歯が生える土台となるのが「歯ぐき」です。歯ぐきが炎症を起こしていたり、清潔に保たれていなかったりすると、生えてきた歯の周囲にトラブルが起こるリスクも高まります。やわらかくてデリケートな歯ぐきをケアすることで、歯がスムーズに生えやすくなるという利点もあります。

    3. お口のケアの習慣づけができる

    お口のケアを早い段階から習慣にしておくことで、将来的に歯みがきや仕上げみがきを嫌がらずにスムーズに進めやすいです。赤ちゃんの頃から毎日の生活の中でお口に触れられることへの「慣れ」を作るのも、実はとても大切なポイントです。

    0歳からのお口のケアは何をすれば良い?

    ▶︎0〜5ヶ月ごろ:お口を「ふれる」ことからスタート

    この時期は、まだ歯も生えていない赤ちゃんがほとんどです。赤ちゃんがご機嫌なタイミングを見て、お口の中に触れる時間を設けましょう。遊び感覚で触れ合うことで、口の中に触れられる抵抗感を減らすことができます。慣れてきたら、ガーゼなどで歯ぐきや舌をやさしくぬぐうところから始めましょう。この時期は、ミルクのあとに1日1〜2回、ぬるま湯で湿らせた清潔なガーゼで口の中をやさしくふいてあげるだけで十分です。

    ▶︎6〜12ヶ月ごろ:歯が見えはじめたら「ケア強化」

    乳歯が生え始めたら、赤ちゃん用の柔らかい歯ブラシを使い始めましょう。しかし、歯ブラシを嫌がる場合は、ガーゼ磨きを続けても構いません。ここで大切なのは、「無理にやらない」こと。赤ちゃんが楽しめるよう、声かけやスキンシップを交えながら行いましょう。歯ブラシでの歯磨きに慣れてきたら仕上げ磨き用の歯ブラシを使ってきちんと磨きましょう。

    虫歯リスクを高める「感染の窓」に要注意!

    「感染の窓(window of infectivity)」とは、乳歯が生え始める時期に虫歯菌(主にミュータンス菌)が赤ちゃんのお口に定着しやすくなる時期を指します。主に生後19~31ヶ月頃にかけての時期が、最もミュータンス菌に感染しやすい期間といわれています。

    しかし、感染の窓を過ぎる(=ミュータンス菌が定着しないままこの時期を乗り越える)と、その後の虫歯リスクは大きく低下するといわれています。つまり、「感染させない」ことが最大の予防につながるのです。

    乳歯を虫歯から守るためにできること

    • 保護者の口腔ケアも大切
      生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には虫歯菌はいません。虫歯菌の多くは、親から子どもへと感染します。大人が口腔内を清潔に保つことも、赤ちゃんの虫歯予防になります。

    • 食器の共有を避ける
      大人が使った箸やスプーンで赤ちゃんに食べさせるのは、虫歯菌の感染リスクを高めます。赤ちゃんが使う食器の共有は避けましょう。

    まとめ:0歳のうちからお口のケアを始めよう

    乳歯の歯のもと(歯胚)は、妊娠中の早い段階から少しずつ作られていきます。赤ちゃんの健やかな成長には、お口の健康が深く関わっています

    歯が生えてから乳歯ケアをスタートするのではなく、最初はお口に触れることから始めるなど、今からできることを少しずつ始めていきましょう。早期からのお口ケアで、お子さまと一緒に虫歯のない健康なお口を一緒に育てていきましょう。

    ▼お子さまのお口のケアでお困りの方は、ぜひお気軽に当院までご相談ください。

    記事監修 Dr.堀内 啓史
    堀内歯科医院
    院長 堀内 啓史

    岸和田のかかりつけ医、この町の歯医者さん堀内歯科
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