
「昔治療した銀歯、特に痛みもないし問題ないですよね?」
歯科医院でよく聞かれる質問です。確かに、痛みや違和感がなければ「このままで大丈夫」と思ってしまいがちでしょう。
しかし実は、銀歯は時間とともに“劣化”していきます。見た目では分かりにくく、気づいたときにはトラブルが進行しているケースも少なくありません。
この記事では、古い銀歯をそのままにしておくリスクについて、分かりやすく解説していきます。
目次
銀歯は「永久」ではなく寿命がある

保険診療で使われる銀歯(いわゆる金銀パラジウム合金)は、つめ物(インレー)で5〜7年、かぶせ物(クラウン)で約7〜10年ほどで寿命を迎えることが多いとされています。もちろんケアの状態や定期検診の有無などで個人差はありますが、「一生もつものではない」という認識が重要です。
【銀歯劣化する主な理由】
- 金属が経年で変形・摩耗するため
- 接着に使われた歯科用セメントが劣化するため
- お口の中は常に湿度・温度・細菌が多い過酷な環境であるため
今問題がなくても、内部では静かに劣化が進んでいる可能性があるということです。
古い銀歯がもたらす3つのリスク
① 二次虫歯(銀歯の下で起こる虫歯)

古い銀歯の最大のリスクが、二次虫歯です。これは、経年劣化により銀歯と歯のすき間から細菌が入り込み、銀歯の内側で再び虫歯が進行する状態を指します。外からは見えにくく、気づいたときには重度の虫歯になっていることも少なくありません。「見えないところで進む」という点が、二次虫歯の一番の怖さです。
② 歯茎の変色(メタルタトゥー)

銀歯の周囲の歯茎が、黒ずんだり、青紫色っぽく見えたりすることがあります。これは「メタルタトゥー」と呼ばれる現象です。銀歯に含まれる金属イオンが溶け出し、それが歯茎に沈着することで歯茎が変色してしまうことで口元の審美性が低下するだけでなく、「金属アレルギー」を引き起こす原因にもなります。痛みがほとんどないため、「気づいたら変色していた」というケースが多いのが特徴です。
③ 金属アレルギー

銀歯に使われる金属(パラジウムなど)は、長年の使用で金属イオンとして体内に取り込まれることがあります。古い銀歯は経年劣化し「溶け出しやすく」なるため体内に金属が蓄積されやすくなり、金属アレルギーの要因にもなります。金属アレルギーになると、口周りの炎症反応だけでなく手足や顔の湿疹やかゆみ、原因不明の皮膚トラブルが起こります。すぐに症状が出るとは限らず何年、何十年後に発症することもあります。
要注意!古い銀歯に見られる“劣化のサイン”

見た目に異常がなくても、レントゲンで初めて問題が見つかるケースは非常に多いです。次のような変化があれば、一度チェックをおすすめします。
① 銀歯のまわりが黒ずんできた
銀歯と歯の境目が黒く見える場合、銀歯の下で虫歯(二次虫歯)が進行している可能性があります。特に要注意なのはフロスを通すと引っかかる、黒ずみがだんだん広がってきたといった変化です。
② 冷たいものがしみる・噛むと違和感がある
冷たいもので「キーン」としみる場合、銀歯のすき間から刺激が神経に伝わっているサインかもしれません。初期は一時的でも、放置すると症状が強くなる傾向があります。また、噛んだ瞬間だけ違和感がある症状は、銀歯の中で虫歯が進み、歯にヒビや炎症が起きている可能性があります。
③ 銀歯が少し動く・浮いた感じがする
銀歯は、歯科用セメントで固定されていますが、年月とともにこのセメントは劣化します。指や舌で触ると少し動く、噛んだときに高さが合わないなどの症状があるときは、外れる一歩手前の危険サインです。
④ 口臭が気になってきた
銀歯のすき間に細菌がたまると、口臭の原因になることもあります。特に歯みがきしても改善しない、特定の部位だけフロスが臭う場合は、銀歯の下のトラブルを疑います。
痛みがないから「大丈夫」ではない

「まだ使えているから」と放置してしまうと、次のようなリスクがあります。
- 銀歯の下で虫歯が進行し、気づいたときには神経を取る必要がある
- 歯が大きく欠け、被せ物では対応できず抜歯になる
- 炎症が広がり、治療期間・費用ともに増える
特に怖いのは、銀歯の中で虫歯が進んでも、ほとんど痛みが出ないことが多い点です。「痛くない=大丈夫」ではないのが、銀歯の落とし穴です。
まとめ:銀歯を見直すことは、将来の歯を守ること

古い銀歯のトラブルは、早く気づけば最小限の治療で済みますが、放置すると大きな治療が必要になるこの差が非常に大きいのが特徴です。「何年も前に入れた銀歯がある」「最近チェックしていない」そんな方は、症状がなくても一度相談してみることが、結果的に歯と時間と費用を守る近道になります。
古い銀歯が気になる方は、「何も起きていない今」こそ、見直すベストタイミングかもしれません。
記事監修 Dr.堀内 啓史
堀内歯科医院
院長 堀内 啓史
岸和田のかかりつけ医、この町の歯医者さん堀内歯科
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〒596-0825 岸和田市土生町6丁目10-8
