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インプラントが確立された歩み〜その①〜

みなさん、インプラントはご存知ですか?

最近では、目にする機会も増えてきたインプラントですが、インプラントは歯科のこの100年の中で最も大きなイノベーションのひとつです。

今回から数回に分けて「インプラント」についてご紹介していきます。

インプラントとは?

インプラントとは、体内に埋め込む医療機器や材料の総称です。インプラントは英語で「implant」と綴り、和訳すると「植え付ける」「吹き込む」「差し込む」「移植する」という意味があります。

心臓のペースメーカーや人工関節もインプラント

一般的には、デンタルインプラントの意味で「インプラント」という言葉が用いられることが多いですが、実はインプラントは、歯科だけでなく様々な場所で活用されています。心臓のペースメーカー、人工関節、骨折の時に使用するボルト、美容成形の目的で体内に埋め込むシリコン材料等は、いずれもインプラントです。歯科でのインプラントは、正しくは「デンタルインプラント」や「歯科インプラント」といいます。

デンタルインプラントの構造

デンタルインプラント治療では、あごの骨に生体親和性の高い金属であるチタンやチタン合金でできたインプラントを埋め込む手術を行ないます。骨のなかに埋める部分をインプラント(人工歯根)といい、そこにアバットメントと呼ばれる義歯との連結部分にあたる部品を取り付け、義歯をかぶせます。ワンピースインプラントといって、インプラント体とアバットメントが一体となっていて、義歯を取り付けるだけのものもあります。

30歳以上の成人の50人に1-2人がインプラント治療を受けている

デンタルインプラントは従来の取り外し式の義歯やブリッジと比較して、機能的で審美的に優れていること、周囲の歯を削ったりする必要がないことなどの利点から最近では、選ばれる事も多いです。最新の統計では、日本でも30歳以上の成人において、50人に1-2人が治療をうけている一般的な歯科治療法となっています。

これだけ普及しているデンタルインプラントですが、いつからあるものでしょうか?

インプラントの歴史は紀元前から⁉︎

インプラント治療の歴史は思いのほか古く、紀元前にまでさかのぼります。例えばインカ文明のミイラからサファイアの歯根が発見されたり、エジプト文明のミイラには歯の抜けたところへ象牙や宝石を埋める試みがあったりしたとの報告があります。この時は、治療としてのインプラントではなく何らかの儀式として埋められたのではないかという見方もあります。しかし、1300年前のヤマ族の女性の下顎の骨には歯根とすでに一体化した貝殻が埋め込まれていたということが報告されており、1000年以上も前から人類は歯の代用として石や貝殻、動物の骨等をインプラントとして用い、歯の代用をしていることがわかります。

骨との相性の良い素材が見つからず自然に淘汰されてしまう

1000年以上も前から永久歯が抜け落ちた後の治療法の一つとしてインプラントは選択肢の一つとして存在していました。しかし、エメラルド、鉄、金、サファイア、コバルト、クロム合金、ステンレス、アルミニウムなどさまざまな素材が試されましたが、どの素材を埋入しても、長持ちすることはなく、広く普及するものとはなりませんでした。

現代インプラントが確立されるまで

インプラントに最適な素材はチタン

現在のようにデンタルインプラントが一般的な治療法として認められて普及したのは、チタンがインプラントとしての特質を持っていることが発見されたからです。チタンは、骨とインプラントが強固に結合し一体化することが最大の特徴です。この特性を発見したのがスウェーデンのブローネマルク博士です。

スウェーデンのブローネマルク博士が発見!

1952年、もともと応用生体工学研究所の所長だったブローネマルク博士は、ある大学の医学部で骨が治癒する過程において、骨髄がどのような役割を果たすかを研究していました。実験を終えて、ウサギの大腿骨に埋め込んだ生体顕微鏡用の観察に用いた純チタン製チャンバーを取り出そうとしたところ、しっかりと骨にくっついてしまい、どうしてもはがすことができませんでした。他の素材ではこのような現象が起きた経験がなかった博士は、チタンが骨と結合する特性に興味をもち、さらに研究を進めます。

世界中で最も信頼性の高い歯科インプラントの確立

チタンが骨と結合する特質を持っていることを発見した後、血液循環の研究などにおいても、次々とチタンの特質を目の当たりにすることになります。それらの偶然の発見から、ブローネマルク博士は、「チタンは骨に拒否反応をおこさず、結合すること」を確信し、チタンと骨が結合する現象を「オッセオインテグレーション(Osseointegration)」と名づけます。チタンのこの特性の発見は、デンタルインプラントの分野における画期的なターニングポイントとなりました。

世界初のインプラントシステム「ブローネマルクシステム」

ブローネマルク博士によって発見されたチタンと骨が結合(オッセオインテグレーション)する現象を元に開発された世界初の実用インプラントシステムである「ブローネマルクシステム」。1965年に初めて人工歯根としての臨床応用をスタートし、40年以上という長い臨床実績を誇り、現在では、最も信頼性の高い歯科インプラントとして世界中で使用されています。ブローネマルクシステムは、今日のインプラントの普及には欠かせない存在です。

まとめ

ブローネマルク博士のオッセオインテグレーションの発見により、インプラントは失った歯を補う方法の一つとして、世界中の歯科治療で取り入れられています。さらに、年々インプラントの性能が進化していたり、治療可能な範囲が広がり、昔に比べてより安心安全にインプラント治療が可能になってきています。

歯を喪失した場合の治療としてインプラントは素晴らしい治療の一つですが、患者さまによっても最適な治療法は変わってきます。インプラント治療を受ける際は、かかりつけ医にぜひご相談ください。

当院のインプラント治療についてはこちらをご覧ください。

記事監修 Dr.堀内 啓史
堀内歯科医院
院長 堀内 啓史